大抵の場合、高い防災意識を保つのは困難です。
地震や災害があって、一時的に盛り上がりはしても、「いつの間にか忘れてる」事が多いでしょう。
こうなると、次の災害時には、せっかく用意した、備蓄食料や水は期限切れ。電池は液漏れ。最初は持ち歩いていたライトも、「いつの間にか持ち歩いてない」という事になりがちです。
しかし、殆どの人は、ここまで理解してはいても、この悪いサイクルに陥ってしまいます。
“続かない理由“が理解出来なければ、防災意識を保つ事は難しいです。
誰もが苦しく辛い思いはしたくない!
災害対策をする動機の大部分が、危機意識だと私は考えています。
例えば、災害時・・・
自分や大切な人が、苦しんだり、困ることがないようにしたい。
死傷するリスクを小さく、安全にしたい。
被災しても、より快適に、普段通りに過ごしたい。
災害に恐怖や不便を感じた。
行政の対応に限界を感じている。
では、何故、いつの間にか、防災意識が薄れてしまうのでしょうか?
要因1:平常が当たり前になる。
災害が起こるのは確実。大災害の発生スパンは長く、厄介です。日時がはっきり分からず、はるか遠い未来と感じてしまうのではないでしょうか?
忘れた頃・・・例えばそう、備蓄の使用期限が過ぎた頃にやってきたりします。
大規模災害の発生スパンが30年だとすると、3~5回も備蓄を更新する長期戦なのです。
人には、心の衛生を保つ機能があって、これによって、不安な気持ちも時間と共に浄化されてしまうのです。
これ自体は、人間にとって大切な機能です。だからといって、災害はそんなの関係なしに発生します。一度災害が発生したら、それから5年は起こらない。という訳でも無いので厄介です。
要因2:備蓄更新の必要性を疑う。
使用期限のある備蓄品は、災害の発生に関わらず、買い換える必要が出てきます。
災害が起こらず、「結果的に使用しなかった防災用品の更新」を考えてみましょう。
この状況になると、なんだか、もったいない、無駄だったと感じてしまうのではないでしょうか?
結果だけ見れば、防災用品にコストを支払ったのに、払っていない人も同じ生活を送っている。
「あの時、防災用品を買わなくて良かったじゃないか・・・」と。
本来は、災害が発生しなかった事、平穏無事に過ごせた事を喜ぶべきです。
これは、医療保険に入って、期間中に病気にならなかった時に似ています。
「病気にならないのが一番」なのは誰でも分かること。
病気をしなかったと言って、損をしたと感じるべきではありませんよね。
人は、自己の選択を正当化したいと考えるものです。
「あの時、買っておいて良かったね!」となることを望むのです。
要因3:見て見ぬ振り
人は、゛未来よりも現在を優先する゛傾向があります。
今1個のお菓子を貰うか、将来2個貰うか?の判断に対し、前者を選択しがちなのです。
小さな対策でも、未来に起きる災害時には大きな違いとなって影響が出ます。
時には小さな笛一つ、小さなライト一つが生死を分けます。
小型のモバイルバッテリーに死ぬほど感謝する事になるでしょう。
しかし、そうは言われても、災害が起こらなければ、使わない防災用品の効果は小さく見積もられがちなのです。
例えば、携帯トイレ。
いつでもトイレにいける時なら、その必要性は理解しても、その重要性を高く評価しないでしょう。
しかし、いざトイレが無くて、差し迫った時ならどうでしょう。携帯トイレが今の5倍の値段で販売されていても、買うかもしれません。事の重要性は想像出来るかと思います。
どうすれば高い防災レベルを保てるか?
防災意識を保つ為に出来ることは次のような意識、行動が役に立つと考えます。
・定期的に防災の仲間や情報に触れる
あまり他の人と、どんな災害対策をしているか話す事はないですよね。そんな環境が続くと、自分だけ防災をしていると感じてしまう事があります。
そして、自分だけが、無駄にお金や労力を費やしている気がしてしまうのです。
これを防ぐには、定期的に防災に関心のある人間と接触したり、情報に触れる事が有効です。
自分と同じ、頑張っている人を感じる事は、孤独覚を軽減してくれます。
一緒に勉強する仲間を作るのに似ているかもしれません。一人だと続かなくても、仲間がいれば続けられます。そして、防災は続ける必要がある大切な事なのです。
・備蓄更新は小分けにして行いスケジュールに登録する
備蓄の更新は大きな挫折ポイントになります。
可能な限り、自動的に備蓄の更新が出来るように工夫しましょう。
忘れないように、スケジュールに登録するのが有効です。
また、更新は一気にやるのではなく、小分けにして実施するのがオススメです。
一気にやろうとすると、購入の費用や労力を大きく感じやすくなります。
本当は、入れ替え用に毎月、自動的に積立出来、キャンセルされない限り、自動的に更新されるサービスがあるといいのですが、今はその様な仕組みはありません。
・未使用で更新するとしても必要な犠牲だと理解する。
大抵の場合、災害が起きずに、備蓄が期限切れを迎えます。
この時に無駄と感じてしまい、備蓄入れ替えを先延ばしにしてしまったり、止めてしまったりする事があります。
しかし、これは間違いなく愚かな選択です。
例えば、行政が行っている防災備蓄。未使用のまま更新になったとします。これを使わなかった→無駄、と判断して更新しない。と決めたとしたら?
それは愚かな判断だと理解出来るはずです。
実際災害が起こった時、どうするんだ!と。思うのではないでしょうか?
そういう事です。
このような一見、無駄にも思える事でも、割り切るしかない、必要な犠牲なのです。
・誰の為の防災かを考える
災害時の恐怖に対する側面だけでなく、誰かの為というような、自分以外の人へ向けた考え方も重要です。次のような事を考えてみましょう。
あなたが備える事で、もしもの時、どれだけ、誰の助けとなるでしょうか?
そして、あなたは、備えがあったおかげで、どれ程、快適に過ごせるでしょうか?
逆に、備えていない場合はどれ位、大変な思いをするでしょうか?
防災は誰が何と言っても大切な事です。
結果的に何も起こらなくても、それは無駄ではありません。その備えのおかげで、その間安心して過ごせるのです。
是非、防災対策で挫折しないように工夫してみて下さい。