危険を感じれば、誰でも危険から逃げると答えるでしょう。
しかし、実際には、逃げられる状況にも関わらず、逃げ遅れる人がいるのです。
この原因は厄介な事に、人間に備わる特性なのです。
“周りの人が逃げないから大丈夫。とか、他の人が逃げ出したら、自分も避難しよう“と考えてしまう。
結果的に、お互いが牽制する状態になってしまって、逃げ遅れてしまう事があるのです。
今回はこれらの原因と対策についてお話しましょう。
同調性、正常性バイアスとは
これには有名な実話があります。
この時の映像は日本で何度も放送されました。
それは韓国の地下鉄車内の映像です。
車内に煙がモクモクと充満しているのにも関わらず、乗客は誰も慌てる様子が無く、ただ座っている。
普通なら避難している状況にも関わらず、
ただ座っているのです。
この時乗客達は、危険を感じていなかったからとか、落ち着いていたのではありません。
実際、非常に危険な状況で、その後、197名もの死者が出たことで大きなニュースになりました。
この時、電車内にいた人達は「異常や危険を認識していた」にも関わらず、避難行動を取りませんでした。何故でしょうか?
原因は2つのバイアス
その理由は、2つのバイアスにありました。
バイアスとは心理的偏りの事で、思い込みや考え方の癖のようなものです。
一つ目のバイアスは、同調性バイアス。
周りの人が落ち着いているから、まだ大丈夫だろう。と考えて周りの人に合わせてしまう、心の癖です。
二つ目は、正常性バイアス。
異常事態を異常と認識できなくなり、大丈夫だと感じてしまう心の癖です。
事態が衝撃的であればあるほど、心が動揺して行動出来なくなるのです。
この事件で逃げ遅れたのは、この2つのバイアスが原因の一つだと言われています。
もっと早く避難行動をしていれば助かったのに。
悔やまれる事件です。
しかし、バイアス自体に問題があるわけではありません。
人が生きていく上で必要な性質で、普段は私達をサポートしてくれます。
過剰なストレスを避け、動揺や迷った時には「ひとまず、周りの動きに同調する事で、ある程度無難な行動」を取ることが出来るのです。
しかし、周りの集団が、誤った判断をしている場合でも、その行動に引っ張られてしまう事が問題になるのです。
人は迷ったとき、現在の状態を維持しようとします。
これが、とりあえず様子を見よう。=避難しない。につながるのです。
大抵はこの判断が致命的になることはありません。
しかし、皆が対応しきれない大規模災害など、いざという時には大きな被害を出すのです。
バイアスによる逃げ遅れを防ぐには
残念ながら、この、バイアスに陥らない方法はありません。
人間が精神的に安定して生きる為に、遺伝子レベルでプログラムされている“心の機能“だからです。
対処は、「誰もがバイアスに陥る可能性がある事を認識する事」 から始まります。
そして、今、自分はこれらのバイアスに陥っているのではないか?と疑う事です。
また、避難においては、皆の行動を待ってから動くのではなく、空振りを恐れず、率先して避難行動を取る!という心構えが重要です。
これ、言うほど簡単ではありません。
でも、あなたが避難する、声を上げる事が出来れば、強力に避難行動を促すでしょう。
あなたが何も言わずに逃げ出すだけでも周りへの影響は大きいです。
あなたが避難する事で、避難行動の流れが作れれば、それに“同調“して避難し、助かる人が増えるのです。
率先して動けない場合でも、最低限、異常の兆候を感じたら、避難経路や手順、脱出の方策などを確認するようにしましょう。
そして、“状況が現在より少しでも悪化したら、他の人が動かなくても自分は動く。“と決める事です。
たったそれだけでも、最悪の事態を避ける効果はあるのです。
まとめ
災害時に陥ると危険なバイアスは2つあります。
一つは想像を超える事態に遭遇した時に陥る正常性バイアス。
そして、周りの人に合わせてしまう同調性バイアス。
完全に予防する方法はありません。
誰もが陥る可能性を認識し、危険を認知したら、空振りを恐れず、迷わず動く事が何よりも重要です。
是非、これを機会に、今から出来る災害対策を取って頂ければ何より嬉しいです。
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